今年は10年に一度の花粉の飛散量

花粉症の人にとって厄介なシーズンが到来する。特に今年は各地でスギ花粉の飛散量が、過去10年で最多になると見込まれている。既に鼻水やくしゃみなどの症状が出ている人もいる。スギ花粉の飛散が本格的に始まる前に、早めに備えを進めよう。

花粉症はいまや国民病だ。日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会などが行った鼻アレルギーについての全国調査によると、花粉症の有病率は10年ごとにほぼ10%増えている。2019年の調査では、42・5%に上った。

日本気象協会によると、今年のスギ花粉の飛び始めは、福岡の2月8日を皮切りに東京で11日、大阪で22日、新潟で28日と予想する。北海道と東北の一部、沖縄を除いた、ほぼ全域で2月中に飛び始める見込みだ。スギ花粉は飛び始めて7~10日後に量が増えるのが特徴。その後、4週間程度ピークが続き、昼前後と夕方に飛散が多い。晴れて気温が高い日や、乾燥して風が強い日、雨の翌日や気温の高い日が2、3日続いた後は、特に飛散量が多くなる。

今年は、飛散量が多いのが特徴だ。同協会によると、前シーズンよりも九州から東北にかけて飛散量が多く、特に四国から近畿、東海、関東甲信にかけて「非常に多い」と予測する。

原因は、スギ花粉が形成される昨夏の気象条件が大きく影響している。6月から異常な猛暑が続き、花粉を出す雄花の形成に好条件とされる「高温、多照、少雨」がそろったためだという。

環境省の調査によると、22年度の1平方メートル当たりの雄花着花量は福島、栃木、群馬、東京、神奈川、新潟、富山、石川、福井、岡山、鳥取、島根、広島、山口の14都県で、過去10年で最多となった。関東ではさらにヒノキの雄花も極めて多い。

林野庁は、花粉の少ない苗木の開発や広葉樹への植え替え、花粉の飛散を抑制する薬剤の開発を進める。32年度までには無花粉や花粉の少ない杉苗木の生産量を約7割まで増やす目標を掲げるが、まだ時間がかかりそうだ。

今シーズンも各自、早めの対策が必要だ。これまで症状の重かった人は、早めに耳鼻咽喉科や眼科などに相談して薬を処方してもらおう。

対策の基本はマスクだ。不織布などの市販品で約70%、専用品で約84%、花粉を減らせる。マスクの内側にガーゼを当てれば、鼻に入る花粉をさらに抑えられる。

ヨーグルトやキムチ、ぬか漬けなどの乳酸菌を含む食品を意識して取り入れることで免疫機能を高め、規則正しい生活を送ることも重要だ。気象庁などの飛散予測情報も活用し、農作業や暮らしに影響が出ないよう心がけたい。

今年はなぜこんなに飛散が多くなるのでしょうか?その原因は去年の夏まで遡る必要があります。

▼花粉の飛散量のポイントは二つ
(1)前年の夏の気象条件
(2)周期的な増減

スギの雄花は前年夏に作られます。日照時間が長く、気温が高いほど光合成が活発になって生育が促進されます。
2022年の夏は全国的に気温が高く、西日本や東日本では特に高温傾向となりました。
群馬県伊勢崎市では観測史上はじめて6月に40℃に到達したり、東京では過去最長となる9日連続猛暑日を記録したりしました。

また、前年の飛散量が多いと翌年は少なく、前年が少ないと翌年は多くなる傾向があります。
2022年は、西日本・東日本では比較的少ない状況であったため、今年は多い年に当たるとの予測が出ているのです。

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